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ボクとワダは大学生になっていた。スズキは浪人生だったが全く予備校に行っている気配はなかった。タイプの違う三人ではあったが何故か気が合った。それにつれて三人で過ごす時間が長くなった。ワダが女にフラレたら、ボクとスズキでナンパしてきたコをワダにパスしてみたり・・・でもやっぱり惜しくなったスズキがそのコを奪いとって、結果的にワダは更に傷ついちゃったり。ボクがスキになったコをスズキもスキになっちゃたり・・・その上ボクに秘密で告白してフラれちゃったり。とにかくこの頃のスズキは良識というものが全くなく、手に負えなかった。でも楽しかった。しかし夏休みが終わった頃、スズキが突然切り出した。
「俺、一応予備校生だから、お前らみたいなおチャラケた大学生には付き合ってらんねえや。しばらくラッパーの活動は中止にしようぜ。」
活動休止はともかく、ボクもワダも、「おチャラケた生活なんたら」のくだりにはビックリさせられた。「むしろお前が率先してチャラケてたじゃねえか!」おそらくワダも真っ先に思ったはずだが、二人とも口には出さずにスズキの言う事に従った。三人の活動は休止となったが、スズキが勉強している様子は全くないまま受験シーズンを迎えた。当然、どこも受からないと思っていたが、ココがスズキの凄いトコロで、奇跡的に一校だけ合格通知が届いていた。
「やっぱり、俺はスゲエ。ハッキリ言って全然勉強してねえもん。」
「確かに!」と思いつつ、「これで益々スズキの破天荒ぶりに拍車がかかるな」と、ボクとワダは頭を抱えつつも、スズキの大学合格を喜ばしく思っていた。こうして三人の活動は再開された。
案の定、大学生になったスズキの破天荒ぶりは磨きがかかっていた。全般的にココでは語れないレベルに達していたが、ここでお話しできるレベルで言うと・・・とあるクラブで、なんかデカイのが揉めていたので、「もしや?」と思い、割って入ってみた。案の定、主人公はスズキだった。スズキが知り合いと勘違いして、挨拶代わりに後ろからラリアットをくらわせたヤツが全くの他人であった。その彼がスズキに突っかかっていくと、一言の謝罪もないどころか、
「てめぇ!ケンカ売ってんのか?」
と、きたもんだ。完全に相手のセリフである。スズキに事情を聞いてみると、
「人違いしたのはオレが悪いけど、突っかかってきたのはコイツの方だ。こいつがケンカ売るなら俺は買うよ!」と言う。確かに突っかかってきたのは相手の方だが、その突っかかる原因を作ったのは間違いなくスズキである。トモダチでもかばいようがないぐらいスズキが悪いお話しだが、こんな時のボクとワダの決めゼリフはこうだっだ。
「ホント悪かったね。でも、こいつは“ワイルドウルフ”だから、ツイテなかったと思って諦めた方がいいよ。」
この頃、クラブや飲み会でのスズキのビックリするようなエピソードはたくさんあり、しかもそれらは本人に全くの悪気がないので、ボクとワダはスズキを“ワイルドウルフ”と呼んでいた。
⇒第十一話に続く(2008年2月中旬更新予定)

